【個人事業主の方必見】会社設立のメリット・デメリット

2023.12.15

個人事業主が会社設立を検討する際には、会社を設立するとどのようなメリットがあるのか、また、どのようなデメリットがあるのかを知っておかなければ不測の事態を招いてしまうかもしれません。会社設立には多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。会社を設立する前に、今一度、会社設立とはどういうことなのか確認してみましょう。

会社設立のメリット

 

資金調達の可能性が広がる

会社は、個人事業主と比較して財産管理が徹底されます。そのため、金融機関にとっては融資の判断を行うための情報を得やすく、財産の不透明性によって融資を断られることがなくなります。これにより、事業拡大や新規プロジェクトへの資金調達の可能性が広がります。

 

節税効果が期待できる

会社としての経費や税制度の適用を利用することで、税金を節約することができます。個人事業主の場合、所得税は累進課税によって最大45%まで税額が上がります。これに対して、法人の場合、法人税率は課税所得が800万円以下とそれ以上で異なりますが、最大でも23.4%です。

個人事業主の場合

 

課税される所得金額 税率 控除額

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

 

会社の場合

 

 

区分

適用関係(開始事業年度)

28.4.1以後

30.4.1以後

31.4.1以後

4.4.1以後

 

普通法人

 

資本金1億円以下の法人など

 

年800万円以下の部分

下記以外の法人

 

15%

 

15%

15%

15%

適用除外事業者

19%

19%

年800万円超の部分

23.40%

23.20%

23.20%

23.20%

上記以外の普通法人

23.40%

23.20%

23.20%

23.20%

 

出典:所得税の税率 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
   法人税の税率 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

 

年間の所得額が500万円を継続して超えるような状況であれば、節税面で会社の設立を考えてもいいかもしれません。法人税率が個人の所得税率よりも低い場合が多く、また、法人税の計算において経費の計上が可能です。これにより、利益を最大化し税金を最小限に抑えることができます。

 

対外的信用力が向上する

会社は法人格を有し、法的な安定性や信頼性が高まります。これにより、取引先や金融機関との関係構築は個人事業主に比べて容易になり、より有利な取引条件や融資条件を獲得することができます。また、信用力の向上はビジネスの成長にも繋がります

 

優秀な人材を確保しやすくなる

人材難が問題となっている今日では、優秀な人材を確保することは以前にも増して難しくなっています。求職者から、会社としての安定感や将来性があると認識されれば、優秀な人材を引き付けやすくなります。

 

事業承継がしやすくなる

会社は法的に独立した存在であり、経営者の変動や死亡による影響を受けにくいです。個人事業主が亡くなった場合、遺産のすべてが相続の対象となるため相続税の対象となることがあります。その一方で、会社には相続という概念が存在しないので、相続税を課せられる心配はありません。そのため、事業承継後も事業の安定性と継続性を確保しやすくなります。

 

決算日を自由に設定できる

会社は決算日を自由に設定できるため、事業の性質や需要、繁忙期などに応じて最適な時期を選択することができます。これにより、経営計画を柔軟に立てることが可能です。

 

有限責任として個人資産が差押えを受けずに済む

会社法上、株式会社や有限責任事業組合など特定の会社形態では、個人資産が法的手続きによる差し押さえの対象となりにくいです。個人の財産を事業の損失で失うリスクを軽減することができます。

 

会社設立のデメリット

 

事務負担が増加する

会社としての運営には、法務手続きや経理処理、報告書の作成などの事務作業が必要です。これにより、個人事業主に比べて事務負担が増えることがあります。特に初期の段階では組織を整えるための手続きが多く、それに伴う負担が大きいです。

 

手続きに多くの時間・費用がかかる

会社設立には、登記手続きや設立費用、法的な書類の作成などが必要です。これらの手続きには時間と費用がかかるため、準備と実行には慎重さが求められます。特に専門家の支援を必要とする場合があり、それに伴うコストも考慮する必要があります。

 

社会保険に強制加入する

会社を設立すると、従業員に対して社会保険に加入する義務が生じます。これには負担が伴い、経営のコストが増加する可能性があります。社会保険料は従業員の給与とは別に支払われるため、財務計画において考慮する必要があります。

 

会社の財産を自由に使用してはならない

会社は法人として独立した存在であり、個人の所有物とは区別されます。そのため、会社の資産を個人的な目的で使用することは制限されることがあります。特に資産の私的利用に関する規制を遵守する必要があります。

 

まとめ

会社設立には多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。個人事業主が会社設立を検討する際には、事業の性格や将来の展望、リスクとリターンをバランスよく考慮し、慎重な判断が求められます。また、専門家の助言や適切な準備を行うことが、成功するための重要なステップです。

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