創業融資の返済期間は?据置期間についても税理士が解説

2024.09.30

こんにちは!栃木創業融資サポートセンター@宇都宮です。事業を新たに立ち上げる際、創業融資は多くの起業家にとって重要な資金源となります。しかし、融資を受けたあと、その返済計画を適切に設定することも侮ってはいけません。毎月の支払いを不用意に高く設定してしまうと資金ショートを起こしてしまう可能性もあります。このように返済期間や据置期間の取り扱い方次第で、事業の資金繰りに大きな違いが生じることもあるので、これらについてしっかり理解しておく必要があります。

まず、創業融資における返済期間と金利の目安、さらに据置期間の重要性について詳しく解説していきます。

創業融資の返済期間と金利の目安

返済期間

創業融資を受けた後、最も重要なのが返済期間の設定です。返済期間は、融資をどれだけの期間をかけて返済するかを決めるもので、通常、融資の目的によって異なる設定が行われます。例えば、運転資金の場合は57年、設備資金の場合は10年以上の期間が目安とされていますが、重要なのは自社のキャッシュフローと返済能力を正確に把握し、無理のない返済計画を立てることです。

(1) 返済可能額を計算する方法

返済可能額を計算するには、まず事業の収支を予測する必要があります。創業期には売上が不安定なことが多く、経費や設備投資などもかさむため、月々のキャッシュフローを慎重に予測することが重要です。売上から経費を差し引いた純利益が、融資の返済に充てられる金額となりますが、その際、自己資金や他の借入金も考慮に入れなければなりません。万が一資金が手元に来るのが遅れた場合などに備えて余裕を持った返済計画を立てましょう。

(2) 追加融資を受ける可能性がある場合

事業が拡大したり、新たなプロジェクトを進めるためには、追加の融資が必要となる場合があります。この時、既存の返済状況が重要な審査要素となるため、返済期間の設定が大きな影響を与えます。返済期間が長ければ、月々の返済額が少なくなるため、新たな融資を受ける際のキャッシュフローに余裕が生まれます。しかし、一方で返済期間を延ばしすぎると利息の総額が増えるため、長期的なコストを考慮した慎重な判断が求められます。一般的に追加融資を受ける場合には、前回の借入の30%の返済が完了していることが必要なので注意が必要です。

(3) 返済期間は長い方がいいのか?短い方がいいのか?

返済期間は一見長い方がメリットが多いように感じられますが、必ずしもそうではありません。長期間に渡って返済を続けると、月々の負担は軽減される一方、支払う利息の総額は大きくなります。逆に、短期の返済は毎月の返済額が高くなるものの、総支払額を低く抑えることができます。このため、事業の収益性や将来のキャッシュフローを考慮し、どちらが事業にとって最適なのかを見極めることが大切です。

金利

金利は、融資を受ける際の最も重要な要素の一つです。金利の高さによって、融資に対する負担が大きく異なり、特に創業期の事業にとってはその影響が大きいです。創業融資の場合、政府系の金融機関を通じた融資制度が多く用いられ、通常の商業銀行に比べて低金利で融資を受けることができるのが特徴です。一般的には12%程度が目安となりますが、融資額や返済期間によっても変動します。

設備資金や運転資金に該当するものとは

(1) 設備資金

設備資金とは、事業に必要な設備や機器、車両、土地、建物の購入資金を指します。これらの資産は事業の運営に不可欠であり、特に長期間に渡って使用することを前提としています。このため、設備資金は比較的長期の返済期間が設定されることが一般的です。特に製造業や飲食業、農業など、初期投資が大きい事業では、設備資金が大きな比重を占めます。

(2) 運転資金

運転資金は、事業の運営に必要な日常的な資金を指し、仕入れ代金、従業員の給与、光熱費、広告費などが含まれます。運転資金は短期的な返済が求められることが多く、また、事業の成長に伴って資金需要が変動することがあります。特に新たな事業の立ち上げ時には、運転資金の計画をしっかり立てておかないと、資金不足に陥るリスクが高くなります。 

据置期間

創業融資における据置期間は、融資を受けた後すぐに返済が始まらず、一定期間元本の返済を猶予される期間を指します。据置期間を設けることで、創業直後の資金繰りが厳しい時期においても、事業を安定させる時間を確保することができます。この制度は特に創業初期の事業者にとって大きな助けとなるため、しっかりと理解して活用することが求められます。 

(1) 据置期間とは?

据置期間とは、融資を受けた際、元本の返済が一定期間猶予される期間のことです。据置期間中は、元本の返済を行わず、利息のみを支払います。創業融資の場合、一般的に6ヶ月から2年程度の据置期間が設定されることが多いです。この期間を利用することで、創業直後の不安定な収益状況をカバーし、事業が軌道に乗るまでの準備期間を確保することができます。

(2) 創業後すぐに返済できる?

事業を立ち上げた直後は、売上がまだ安定していないことが多く、また、初期投資や広告費用がかかるため、すぐに融資の返済を開始することが難しいことが多いです。据置期間は、このような創業直後の資金繰りの負担を軽減するための制度であり、事業が軌道に乗るまでの期間を確保するのに役立ちます。

(3) 据置期間の決め方

据置期間の長さは、事業の性質や開業後の収益予測に基づいて決めることが重要です。開業後すぐに売上が見込める事業であれば、6ヶ月程度の据置期間で十分かもしれませんが、製造業や建設業など、プロジェクトベースで収益が発生する業種の場合は、1年以上の据置期間が必要なこともあります。また、据置期間が長いと、その分利息の支払いが増えるため、バランスを考慮して慎重に決定しましょう。

まとめ

創業融資の返済期間や据置期間は、事業の安定性と将来の成長に直結する重要な要素です。無理のない返済計画を立て、適切な金利と返済期間を選ぶことが、長期的な成功を支える基盤となります。専門家に相談しながら、事業計画と照らし合わせて最適な融資条件を設定することが大切です。

よくある質問

  1. Q.創業融資の審査にはどれくらいの時間がかかりますか?
  2. A.融資の審査は一般的に1~2ヶ月程度かかりますが、審査内容によってはさらに長くなることもあります。
 
  1. Q.据置期間中の利息はどのように計算されますか?
  2. A.据置期間中は、元本の返済は行わず、融資額に対する利息のみを支払います。利息は融資残高に対して毎月計算されるため、据置期間が長くなるとその分利息も増加します。

融資の専門家に相談

融資の返済計画や据置期間については、税理士や金融機関の専門家に相談することが望ましいです。専門家は、事業の現状や将来の見通しに基づき、最適な融資条件や返済計画を提案してくれるため、起業家にとって心強いパートナーとなるでしょう。

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